投稿者: 院長 藤田勇

  • 【改善事例】20年来の脊髄小脳変性症に悩む50代女性

    患者

    59歳 女性 群馬県 安中市

    初診

    平成20年8月28日

    主訴

    歩行困難 ふらつき 

    症状

    20年前から。最初、美容院でふらついていることを指摘されて気がついた。また同時期に、しゃべりにくい、歯が浮いたような感じになるなどの症状も出るようになった。

    最初は病院に行って検査をしてもらっても原因がわからず、脳梗塞の薬が出されていたが、その後に脊髄小脳変性症と診断され、セレジストが処方されるようになった。

    まだその当時は、他人に気がつかれない程度の状態で、13年間は症状が進行することもなくほとんど変わる事がなく同じような状態が続いていた。

    7年前にそれまでの仕事を辞めて、新しい仕事に就いたころより歩行状態が悪くなりはじめ、またぐ動作がこわい、体重移動がスムーズにできないなど歩行困難の症状が出るようになった。

    現在の状態は、言葉がでにくい(ろれつが回らない)、眼振、キャップを指先でつかもうとすると落としてしまう。字が書きにくい、首と上半身の揺れ、ふらつき歩行(杖使用)

    東京の中医針灸院に一週間に二回通院して鍼灸治療を受けていたが、院が移動して通院時に歩かなければならない機会が増えてしまったこともあり、また、週二回東京まで行くことも大変になって来たので、群馬県で良い鍼灸院を探していた。

    治療

    週に一回のペースで治療をスタート。

    頸椎の問題があって、椎骨脳底動脈不全も認められた。

    脳への血流を改善していくことは、脳疾患に対しては大変重要である。

    椎骨脳底動脈が脳へ流入していく経路には、ダイレクトに小脳にコンタクトしているので、この血流をあげることは特に必要なことである。

    使用したツボは、中封 四瀆 陰谷 曲泉 上脘 中脘 下脘 頭皮鍼 攅竹 魚腰 etc

    経過

    四回目の治療時に、構語障害(言葉の出が遅い、ろれつが回らない)に対する治療も希望されたので、新たに人中、素髎、下顎のツボもくわえるようになる。

    五回目の治療後、大方の状態は大きく変わらないが、ここ最近背筋が伸びるようになって姿勢が良くなった。歩行時、足の蹴り方に力が入るようになった。

    七回目の治療後、歩くきやすく調子良い感じに、構語障害(言葉の出が遅い、ろれつが回らない)も、以前より良い感じになってきた。

    この後も、週一回のペースで3年間にわたり通院。

    脊髄小脳変性症の治療を継続しつつ、胃の調子の悪さ、疲労感、頭痛、気分の落ち込み、むせる等の訴えが出ると、その都度それらの症状にも対処していった。

    歩行困難は治療直後は良くなるが、その後もとに戻ってしまう、ことを繰り返していたが、長いスパンでも改善傾向を示していた。

    治療のふりかえり

    当院での初の脊髄小脳変性症の患者さんで、この方をきっかけに大成堂では脊髄小脳変性症の患者さんを治療する機会が増えました。

    約3年間通院をされていましたが、脊髄小脳変性症は進行性の病気ですので、長期の継続治療をが必要です。

    治療直後は歩行困難も構語障害(言葉の出が遅い、ろれつが回らない)も軽減し、その後もとに戻るということの繰り返しをしていましたが、長期のスパンでは改善傾向を示して、以前はできなかった動作が出来るようになったりしていました。

    娘さんがうつ病で、家庭に問題があり、そのことでこの患者さんもうつっぽくなってしまうことがあり、そういった時には症状も悪化していました。

    症状の進行を遅くする、できたらストップさせることを目標に治療を継続しましたが、改善傾向を示した症状もあり、治療としては成功だったと思われます。

    お一人で来院できないので、いつもご主人に車に乗せてもらってきていましたが、ご主人のお仕事の関係で乗せて来てもらえなくなってしまい、残念ながら治療終了となってしまいました。

    この患者さんのお蔭で、脊髄小脳変性症の治療に対する理解を深めることができました。

  • 【改善事例】内科、耳鼻科、カイロプラクティックでも改善しない、2年以上つづくめまいに悩む40代男性

    患者

    40歳 男性 群馬県 前橋市

    主訴

    めまい 首肩こり  

    症状

    2年前よりめまいが出るようになる。

    当時、運転で後ろを振り返る時に出るようになった。

    内科でMRIの検査をしても問題が見つからず、抗うつ剤を処方されたが効果は無かった。

    漢方(ツムラ39苓桂朮甘湯)、アデホスコーワで少し良い感じだった。

    耳鼻科での検査も問題なし。

    常に頭がボーッとして、首を速く動かすとクラっとする。左頚部の奥に違和感を感じる。

    一ヶ月前からカイロプラクティックに通っている。治療後は楽になるがまたもとに戻ってしまう。

    10年前に交通事故で、横を向いている時に追突され、左頚部に衝撃を受けた。その時も鍼治療をうけた。

    10年ほど前より血圧が高く(160/90)、7年前より降圧剤を服用している(140/85~90)。

    腎臓結石から腹膜炎になり手術を受けた。

    睡眠時無呼吸症候群。

    治療

    週に一回のペースで治療をスタート。

    頸椎の問題、椎骨脳底動脈不全、後頭下筋のトリガーポイント、瘀血の問題が認められ、それに対する治療をおこなった。

    使用したツボは、中封 陰谷 四瀆 曲泉 崑崙 後頭下筋トリガーポイントetc

    経過

    一回目の治療後、めまいは半分ぐらいに軽減。

    日によって夕方あたりにめまいが強くなる。

    二回目の治療後、めまいは10→4。

    朝起きる時や、夜にめまいが起こることがある。

    三回目の治療後、めまいは全快と同じ。

    疲れた時にめまいが出る。

    四回目の治療後、めまい10→3程度。

    五回目の治療後、めまいはほとんど無し。

    疲れた時に、首に少し違和感がある程度。

    その後も、週一回のペースで二ヶ月間同様の治療を継続する。

    めまいは10→ほぼ0で安定し、略治をして一旦治療終了する。

    これ以降も、調子が悪くなりめまいが出現した時に最来院。

    治療のふりかえり

    この患者さんのめまいの原因と思われるのは、10年前の交通事故です。

    患者さんは、左後頚部に衝撃を受けたと言っていましたが、それがきっかけで後頭下筋群にトリガーポイントが発生したものと考えられます。

    実際、この患者さんの後頚部にはかなりの硬さの筋硬結が触れられました。

    この筋硬結への治療が、めまい解消に速結していました。

    一旦、筋にトリガーポイントが発生すると、自然になくなることはほとんどありません。

    この場合、鍼が一番効果をあげやすい治療法となります。

    このため、この患者さんも速やかに改善したわけです。

  • 【改善事例】頭痛、めまい、肩こりに悩む働き過ぎの40代男性

    患者

    43歳 男性 群馬県 伊勢崎市

    主訴

    頭痛 めまい 肩こり  

    症状

    2ヶ月前より頭痛、めまいが出現。当時、18時間現場で仕事をぶっ続けていた。

    以前より、疲れると頭痛が出ていたが、睡眠をとれば回復できる状態だった。

    今回は、睡眠をとっても頭痛はずっと続いたままである。

    締め付けられるようで、うっ血しているような感じ。めまいは現在は落ち着いている。

    一週間前までは、自分の運転で車酔いしてしまうので、車の運転もできなかった。

    今週、やっと半径10㎞範囲内は行動できるようになった。

    安定剤服用で食欲がなんとか保てている状態。ベスト体重よりも5㎏減ってしまった。

    現在、仕事を休んでいる。

    治療

    週に一回のペースで治療をスタート。

    頸椎の問題、椎骨脳底動脈不全、副腎疲労、扁桃弱体が認められ、それに対する治療もおこなった。

    使用したツボは、陰陵泉 四瀆 曲池 中封 照海 崑崙 天柱 膏肓 etc

    経過

    一回目の治療後、頭痛は10→3.5。めまいも出ていない。

    ベストの体重から6㎏まで引き続き落ちてきているので、検査を勧めた。

    二回目の治療後、頭痛、めまい問題ない。

    血液検査の結果、異状なしだった。次は胃カメラを飲む予定。

    三回目の治療後、調子良い。肩甲骨周囲が張るぐらい。

    体重の減りは落ち着いている。胃カメラの結果は、慢性胃炎とのことだった。

    治療間隔を二週間に一回に伸ばす。

    四回目の治療後、調子良い。頭痛めまいは無い。

    仕事を週3日やり始めている。

    体重は横ばい。

    五回目の治療後、週4日で仕事をしている。やや頭痛が出た。

    調子が安定して良いので、治療間隔を月に一回に伸ばす

    六回目の治療後、週5日で仕事をしている。肩こり少しあり、頭痛ややあり。

    七回目の治療後、仕事フル、残業ありでも調子悪くない。時々肩がこるかな?程度。

    この後、月に一回のメンテナンス治療に移行。

    仕事がハードになると疲れが出てくるが、しっかりと睡眠をとれば元に戻れる状態。

    半年後、状態が良いので略治として治療終了した。

    治療のふりかえり

    この患者さんは、初回の治療で頭痛が激減し、その後もスムーズに状態が良くなっていきました。

    仕事のし過ぎ、過労が原因でした。

    パソコンの仕事なので、目を酷使し、また姿勢も悪いので頸椎、頸筋の負担が重なっていました。

    副腎疲労、扁桃弱体のサインも出ていて、単純に体を休めても休まらない状態になっていたので、積極的な休養とっていく必要がありました。

    積極的な休養とは、副交感神経を刺激して心身がリラックスするように持っていくことで実現できるものです。

    鍼灸によって頸筋を緩めて、副交感神経を刺激できたことが、非常に速やかに症状が改善していった要因と思われます。

  • 産後1か月後に顔面の帯状疱疹後神経痛になった伊勢崎市30代女性【改善事例】

    患者

    34歳 女性 群馬県 伊勢崎市

    主訴

    帯状疱疹後神経痛 めまい 背部痛  

    症状

    九ヶ月前に出産し、その一ヶ月後に帯状疱疹になる。

    皮膚科でゾビラックスを処方され、帯状疱疹は治ったが、その後神経痛が発生する。

    帯状疱疹発症から一ヶ月後よりペインクリニックに通院し、五苓散、リリカ、ノイロトロピンなどを服用してきている。

    現在、額の左側に、神経痛としての痛みというよりも、硬い・鉄板が入っているような感じ・まぶたが重いなどの感覚がある。

    その他の症状

    右耳のめまい感。

    出産前に新幹線に乗っている時に、ふわーっと右側だけめまいを感じ、それ以来ずっとその感覚がある。

    何かに集中している時は気にならないこともある。

    治療

    週に一回のペースで治療をスタート。

    頸椎の問題、椎骨脳底動脈不全が認められ、また経絡では陽明経、小陽経、太陽経に問題があるので、それに対する治療もおこなった。

    使用したツボは、陰谷 曲泉 内庭 崑崙 陰陵泉 四瀆 etc

    経過

    一回目の治療後、額の感覚は同じ。右耳のめまい感は軽減。

    二回目の治療後、額の感覚を忘れる時間が出てきた。

    三回目の治療後、額の感覚を忘れる時間が長くなってくる。右耳のめまい感も軽減。

    四回目の治療後、忘れる時間が更に長くなり、感覚の程度も軽減してきた。

    八回目の治療後、額の感覚はかなり薄くなってきた。

    右耳のめまい感、ふらつきは普通に生活している時は大丈夫。

    三ヶ月間、同様のペースで治療を継続した結果、疲労や寒さで額の違和感がやや強くなることがあるが、治療開始時の状態と比べれば非常に軽微になり、めまい感はほとんど無い状態になる。

    その後も、メンテナンスの意味も含めて月に二回の治療を三ヶ月、月に一回の治療を半年継続した。

    その経過で、ほぼ額の違和感もない状態になっていた。

    引っ越しで遠くに行くことになり、治療を終了とした。

    治療のふりかえり

    帯状疱疹後神経痛は難治性の痛みです。

    実際、高齢者や、発症してから長時間経っている場合は治りにくいことを経験しています。

    この患者さんは、三十代と若く、また発症してから時間も経っていなかったこともあり、スムーズに症状が改善していきました。

    右耳だけめまいというのは珍しい症状でしたが、耳につながる経絡に対しての治療で、こちらもスムーズに改善していきました。

    頸椎に問題があり、頸椎を流れる椎骨動脈の血流にも問題がありました。

    ここを改善させることを主目的として、プラス耳と額につながるツボを選び治療をしたことが功を奏しました。

  • 寝違えが2週間治らない伊勢崎市30代銀行受付の女性【改善事例】

    患者

    37歳 女性 群馬県 伊勢崎市

    主訴

    寝違え 首肩こり・痛み  

    症状

    二週間前に寝違え。

    今までにも、時々寝違えることはあったが、1日経てば自然に治っていた。

    しかし、今回はずっと痛みが良くならず、我慢をしていたら一週間経った時点で痛みが強くなってきてしまった。

    その時点で、鍼治療も受けたが良くならなかった。

    現在も、ずっと同じように痛く、首を左右に回せない。

    車の運転で、バックをするのが大変。

    治療

    頸椎の問題、瘀血の問題、糖代謝の問題が認められるので、それに対する治療もおこなった。

    使用したツボは、陰陵泉 四瀆 大巨 外関 大杼 崑崙

    経過

    一回目の治療直後、痛みが軽減し首を楽に動かせるようになる。

    二回目の来院時、痛みは10→2。

    治療後はほぼ痛み無い状態になり、二回の治療で略治として治療終了とした。

    治療ふりかえり

    寝違えは、大成堂の非常に得意とする症状の一つです。

    よほどの重症でない限りは、その場で首が動くようになります。

    この患者さんは、取り引きのある信用組合の受付をしている方でした。

    大成堂のこともご存知で、ある時受付で話をしていると、「寝違えがなおらなくて辛い」と打ち明けられ、大成堂に来院することになりました。

    軽度の寝違えなら、治療をしなくても1日2日で自然に治るものです。

    しかし、一週間経っても痛みが強いままの場合は治療をしなければ治りません。

    この患者さんは、一週間経った時点で鍼灸治療を受けていますが改善しませんでした。

    一括りに鍼灸治療といっても、適切なツボに適切な刺激を与えられないと、効果が無い場合も多くあります。

    そこが鍼灸治療家の腕の見せ所となるわけです。

  • 【改善事例】自分が生理中なのを忘れてしまった、生理痛に悩む歯科衛生士20代女性

    患者

    25歳 女性 群馬県 伊勢崎市

    主訴

    生理痛 首肩こり  

    症状

    歯科衛生士の仕事をするようになって1年たったころより、首のこりを強く感じるようになる。

    仕事をしている日は、一日の後半にいくほどだんだん強くなってくる。

    休日の朝起きた時には、前日の首こりが残っている感じがあり、その後だんだんと軽くなってくるが、仕事がはじまるとまた元に戻る。

    今までに、4回交通事故に遭って、2回むち打ちなっている。

    一番最近は、半年前。

    生理前に便秘になる。

    生理一日目に痛みがある。

    PMS(月経前症候群)もある。

    チョコレートを食べ過ぎると、お腹がゆるくなる。

    二ヶ月後に、ハワイで挙式の予定なので、それまでに体の状態を良くしておきたい。

    治療

    二週に一回のペースで治療をスタート。

    甘い物の取りすぎ、頸椎の問題、椎骨脳底動脈不全、瘀血が認められるので、それに対する治療もおこなった。

    使用したツボは、陰陵泉 左中封 四瀆 上太白 関門 崑崙 天柱 百会etc

    経過

    一回目の治療直後、衝撃的に良くなったとのこと。

    眠りが深くなる。

    二週間後、二回目の治療。

    間が空いたので少し戻ってきたが、肩がやわらかい10→4。

    二週間後、三回目の治療。肩こりは10→3~5。

    一週間前に、重いバケツを持って腰がヒリヒリした。

    三週間後、四回目の治療。肩こりはあるものの、以前ほどではない。

    毎月22日間隔で生理が来る。一週間前に生理が来て、今回は生理痛はなかったが、下痢になった。

    ハワイ挙式の準備等で忙しくなるので、次回は一ヶ月後に予約を入れていった。

    一ヶ月後、五回目の治療。

    ハワイでの挙式は無事におこなわれた。

    ハワイでは外食が多く、本来はニキビが出やすくなるのだが、今回は出なかった。

    また生理痛が全くなく、自分が生理中である事を忘れて、生理用品を持たずにトイレに行き、そのことに気がついて非常にびっくりしたとのことだった。

    セクハラを一番しなさそうな先生

    初診時、大成堂に来院することを決めた理由をたずねたところ、「他の治療院がしそうというわけではないのですが・・・」と前置きをしながら、「一番セクハラをしなさそうな先生だったから」と言われました。

    だいたい本格的な鍼灸院というと、女性の鍼灸師も増えてきましたが男性が多い傾向にあります。

    大成堂も、今では女性スタッフがいますが、この患者さんが来院された当時は男一人でやっていました。

    そうしたこともあってか、20代の女性患者さんは少ない傾向でした。

    やはり男一人の鍼灸院となると、女性にとってはハードルが高くなるのでしょう。

    そうならないように、誤解を与えず、安心感を与えられるように意識してきたつもりです。

    この患者さんには、その辺りが伝わったのかと思われました。

  • 【改善事例】首は回せないのに、目は回るめまいの患者さん70代女性

    74歳 女性 群馬県 渋川市

    主訴

    めまい 首の痛み 頭痛  

    症状

    1年前に突然めまいに襲われる。

    朝起きた時にフワーっとなって、嘔吐した。

    次の日に入院し、10日後に一旦良くなり退院。

    その3日後に、群馬大学附属病院を受診し、脳循環不全と診断される。

    9ヶ月後、ご主人が胃潰瘍、すい臓、大腸の問題で入院しバタバタしていた。

    翌月から、再びめまいが出現し、首の痛みも強く感じるようになる。

    ふらつき、後頚部の痛み。

    左肩が痛い。

    治療

    週に一回のペースで治療をスタート。

    頸椎の問題、椎骨脳底動脈不全が認められるので、それに対する治療もおこなった。

    使用したツボは、陰陵泉 四瀆 曲泉 合谷 崑崙 天柱 etc

    経過

    一回目の治療直後、車に乗るまでめまいが起こりそうだったが、家に帰ってからだんだん軽くなった。

    後頚部の痛みは変わらず。

    二回目の治療後、めまいは10→5。

    三回目の治療後、めまい10→4.

    朝起きて、立ち上がる時にめまいが出る。

    後頚部痛い。

    四回目の治療後、めまいはほとんど無し。

    後頚部は治療後三日目頃より少し軽減した。

    五回目の治療後、めまいは落ち着いている。

    後頚部の痛み不変。

    六、七、八、九回と治療を重ねるも、後頚部の痛みは治療直後は楽になるが不変。

    そして「今日で治療を終わりにさせてくださいと」患者本人に告げられ、治療終了となる。

     

    治りにくい人の思考のくせ

    この患者さんは、五回目の治療辺りから、ご主人の知り合いで磁力線の治療をするところに、半ば強引にご主人に連れられて通い始めたと、本人より告げられました。

    患者さん本人は、気のりしてないようでした。

    また、息子さんから「家族に迷惑をかけている」と言われていると漏らしていて、いろいろと家庭事情が複雑なようでした。

    治療の最中、上記のような話(愚痴)を良くされていました。

    長年いろいろな患者さんを治療してきていると、治りやすい人と治りにくい人が見分けられるようになってきます。

    この患者さんは、完全に治りにくいタイプの部類に入っていました。

    ネガティブな所に意識を持っていきやすく、例えばめまいが改善してきているのに、そこはスルーしてしまい、今ある後頚部の痛みばかりにフォーカスしてしまっていました。

    コップ半分の水

    コップにいっぱい入った水を半分ほど飲んで、残り半分の水を見た時に、

    「まだ半分も残っている」と思うのか、

    「もう半分しか残っていない」と思うのか、

    同じ事実でも全く違った捉え方になります。

    前者の思考タイプの人は治りやすい傾向があり、後者の思考タイプの人は治りにくい傾向にあります。

     

  • 【改善事例】ヨガの先生に紹介されて来院した膝痛の60代男性

    67歳 男性 群馬県 伊勢崎市

    主訴

    左膝、左股関節痛  

    症状

    二週間前から左膝の痛みを強く感じるようになる。

    もともと、左膝は調子が悪く、整形外科で水を抜く、痛み止め、ヒアルロン酸などの治療を受けていた。

    正座できない。

    以前から腰痛持ち。

    5年前に胃がんの手術をして体重が減少し、それから腰の調子も悪くなる。

    腰も膝もレントゲンでは異常は見られなかった。

    奥様がヨガ教室に通うようになり、一緒に週に一、二回行くようになった。

    そこのヨガの先生に、大成堂を紹介されて来院することに。

    食欲、便通問題なし。

    夜間、小便で二回起床。

    20年前、スキーで足首や膝を捻挫している。

    治療

    週に一回のペースで治療をスタート。

    左膝局所の問題と、左股関節にも問題があるので、そこに対する治療を中心におこなった。

    使用したツボは、陰陵泉 環跳 陽陵泉 曲泉 膝眼 足臨泣 etc

    経過

    一回目の治療後、膝の痛みは10→5程度に。

    階段を上る時、正座で痛みが強くなる。

    二回目の治療後、10→3程度に。

    正座はできない。

    三回目の治療後、ほぼ痛みは無い。

    正座をしても、やや違和感がある程度に。

    四回目の治療後調子良い。

    全五回の治療で、略治として治療を終了した。

    膝の痛みは変形が原因で無いことが多い

    膝痛というと、どうしても軟骨がすり減ってとか、骨が変形してというイメージが強いと思います。

    しかし、軟骨や骨が関係ない膝痛は非常に多いのです。

    この患者さんも同様です。

    膝窩や膝内側の筋肉や靭帯の問題の場合、これを緩めていけば非常に速やかに改善していきます。

    膝がパンパンに腫れているケースでもそれは同様です。

    腫れるということは、筋や靭帯に炎症がおこり腫れるわけです。

    水を抜いても炎症が治まるわけではありません。

    鍼灸には、血流を促進して炎症を起こす物質をその部分にとどめさせないことで、炎症を抑える働きがあります。

    筋肉の過緊張も、鍼灸の特異とするところですから、この患者さんのような膝痛は非常に得意なケースとなるわけです。

    正直言うと、この患者さんにはもう少し継続治療をしてほしかったのですが、基本的に男性は目の前の痛みが解消されると、そこで治療を止めてしまう傾向にあります。

  • 【改善事例】壮絶な過去を持つも、明るく前向きな80代女性 首肩腰の痛み

    80歳 女性 群馬県 利根郡

    主訴

    首肩こり 腰痛

    症状

    3ヶ月前から首肩が凝って、痛みを感じるぐらい。

    その前から首肩こりはしょっちゅう感じていた。

    1ヶ月前に右腰を歩いている時に痛める。右大腿までだるさを感じる。

    血圧が高く、服薬をしてコントロールしている。

    50年前、帝王切開。

    治療

    週に一回のペースで治療をスタート。

    瘀血、椎骨脳底動脈血流不全、首肩の筋緊張、腰殿筋緊張等の問題があり、それに対する治療をおこなった。

    使用したツボは、中封 陰陵泉 四瀆 三脘 陰交 環跳 志室 生辺 etc

    経過

    一回目の治療後、腰は10→5程度に。首肩は10→3程度に軽減。

    自宅で臀部にお灸をしていると、大腿まで響きが広がる感じ。

    二回目の治療後、首はほとんど大丈夫。肩こりはあり。

    腰ずいぶん楽になった。臀部から大腿まではまだ病める感じ。

    三回目の治療後、腰は良い。大腿の病める感じは、日常生活では大丈夫なレベルにまで軽減。

    この後も、同じペースで治療を継続。山に登ったり、仕事をしたり、歩きすぎたりと、いろいろ無理をすると病める感じが強くなるが、ひどくなることは無く、自宅でのお灸と週一回の治療で引き続き改善していった。

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    3ヶ月経った時、転倒して膝を打ち、膝の痛みを訴えるようになる。

    それまでの治療プラス膝の治療で対応していき、二回で膝は改善。

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    それから2ヶ月後の時、肩甲骨内縁に強い痛みを感じるようになったと訴えたため、そこの治療をプラスした。

    加えたツボは、大敦 膏肓

    三回の治療で改善

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    初診から半年たち、冬に入った。

    この患者さんは、川場村から来院しているので、雪による道路事情もあり、また調子も良いので一旦治療休止。

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    翌年の春に再び来院する。

    冬の間に狭心症になったとのことだった。

    治療としては、腰を中心とした。

    仕事で無理をすると、腰が病める。

    一ヶ月半ほど治療を継続し、ほとんど痛まない程度に。

    更に同様の治療を半年間継続していき、調子良い状態をキープしていった。

    また冬になり、状態も良いので、略治として治療を終了した。

    落盤事故で家族を失った過去

    この患者さんは、非常に素直な性格で純粋な方だったこともあり、反応が非常によく治療を楽に進められました。

    80歳という高齢にも関わらず、家では自分で家事全般をこなし、いろいろな仕事を精力的にしている方でした。

    大成堂から遠く離れたところから、娘さんに車に乗せてもらい毎週まじめに通われていました。

    治療の最中に伺ったのですが、50年前この患者さんは、山の集落で落盤事故に遭います。

    集落の大半が土砂に飲み込まれ、この患者さんのご家族が全員亡くなってしまったそうです。

    患者さん本人は奇跡的に助かったものの、体を動かせない状態になってしまい、長期入院したとのことでした。

    どれだけの悲しみを経験したのでしょうか?

    ご主人、お子さんをみな亡くし、ご自身も麻痺になってしまうとは。

    ですが、麻痺を克服し、悲しみを克服し、そんなことがあったことを微塵も感じさせない、優しく純粋なおばあちゃんという感じの方でした。

    熊や猪の肉が手に入ったと言っては、持って来てくれたり、果物が手に入ったと言っては持って来てくれたりしました。

    途中からは、送迎でついてきていた娘さんも一緒に治療をすることになり、並んで治療をおこなっていました。

    明るく前向きな患者さんに、いつしか治療をすることが待ち遠しく感じるようになっていたケースでした。

  • 【改善事例】今までいろんな治療を受けて良くなったことがないと言う、首肩腰痛に悩む40代男性

    43歳 男性 群馬県 伊勢崎市

    主訴

    首、肩、腰の痛み  

    症状

    2、3年前から、寝て起きた時に寝違え様の状態に頻繁になるようになった。

    それまでは、本を枕にしてねて首を痛めたことはあったが、今回ほどの状態になる事はなかった。

    首の左側が、顔を上げ下げしたり、左右に向くたびに痛みを感じる。

    レントゲンでは、頸椎の5番と6番の間の軟骨が柔軟性を失っていると言われた。

    左腰から左臀部、左大腿後面の痛み。

    椎間板ヘルニアと診断された。

    右中指腱鞘炎。

    アレルギー性鼻炎。

    治療

    週に一回のペースで治療をスタート。

    副腎疲労、椎骨脳底動脈血流不全、首肩筋緊張、痔静脈鬱血、腰臀部筋緊張の問題があり、それに対処する治療をおこなっていった。

    使用したツボは、照海 陰陵泉 四瀆 会陽 肩阿是穴 首夾脊 etc

    経過

    一回目の治療後、首はするどい痛みから普通の痛みになった。

    二回目の治療後、同じ様。

    左肩から左指にかけてしびれている。

    三回目の治療後、首の痛みは朝やや良い。

    五回目の治療後、首は痛くない時があるようになってきた。

    この時にインポテンツの相談を受ける。

    元気な時は元気だが、ダメな時はダメで、最後まで行けないこともあるとのことで、これに対するツボも加えることとした。

    六回目の治療後、首10→6程度に。

    七回目の治療後、朝起きた時にとても調子が良い日がある。

    良くなっていると感じる。

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    この後も、同様のペースで治療を継続、。

    初回から三ヶ月間の治療で、首の痛みは10→2~3程度に。

    腰も腰痛バンドを使わないでいられる程度になる。

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    この後、治療間隔を二週に一回のペースに変更。

    二ヶ月して、首はほとんど気にならない程度に。

    更にメンテナンス治療として、一年半治療を継続。

    その都度、いろいろと体の疲れを取り除き、時に痛めたところの治療をしつつ、体調の維持をしていった。

    体が全体的に良い状態になり、略治として治療を終了した。

    いままで治療が効いたことがないんですよ

    初回の治療時に、この患者さんは「いままで治療を受けて効いたことが無い」とポロっと言われました。

    その言葉を聞いて、「よーし効かせてみようじゃない」と静かに闘志を燃やしたことを覚えています。

    最初、患者さんの言葉どおり、治療に対する反応が鈍く、効果も今一つ出なかったので、これはダメなのかなとやや心配する場面もありました。

    しかし、しっかりと継続来院してくれたので、最終的には効果を出すことができて、ホッとしました。

    人の体はさまざまな体質があって、反応が良くて、すぐに効果が出やすいタイプと、

    反応が鈍くて、効果が出るまでに時間がかかってしまうタイプがいます。

    効果が出るまでに時間がかかるタイプの場合、効果がでるまで辛抱強く継続来院できるかがポイントとなります。

    こちらが経過予想を説明しても、聞いてもらえず来院ストップとなってしまうこともあり、そんな時は非常に残念に思うのと同時に、申し訳なく思います。

    基本的に、治るまで来院していただくと、治る確率は高くなるものと考えていただくと良いかと思います。