カテゴリー: 耳鳴りについて

  • あなたの耳鳴りタイプはどれ?東洋医学でわかるセルフチェック法

    あなたの耳鳴りタイプはどれ?東洋医学でわかるセルフチェック法

    耳鳴りの音が違うのはなぜ?

    「キーンと高い音がずっと続く…」
    「ジーというノイズのような音が気になって眠れない」
    「ボーッと低く響く感じがある」
    「心の状態で変化する耳鳴り」

    耳鳴りには、実は“音の種類”があります。そしてその違いは、東洋医学の視点から見ると、体質や内臓の状態のサインととらえることができます。

    第1回の記事では、「耳鳴り=耳の病気」ではなく、自律神経や五臓のアンバランスによる体全体の不調の現れであることをお伝えしました。

    今回はその内容をふまえて、「あなたの耳鳴りが、どの臓器のバランスと関係しているのか」を見つけるセルフチェック法をご紹介します。

    「高音」「低音」「心の状態で変化する音」それぞれの背景

    耳鳴りの種類は主に次の3つに分けられます。

    音のタイプ東洋医学的な背景体の状態の特徴
    キーンと高音肝タイプ(気滞)イライラ・目の疲れ・肩こり
    ジーと蝉が鳴くような低音腎タイプ(腎虚)冷え・疲れやすい・老化傾向
    心の状態と連動する音心タイプ(心神不安)不眠・動悸・焦り・不安感

    「ただ耳鳴りがある」のではなく、「どんな音か」「どんなときに強くなるか」に注目することで、耳鳴りの原因に近づくヒントになります。

    東洋医学の体質別耳鳴りセルフチェック

    以下では、東洋医学でよく使われる「五臓」のうち、耳鳴りと特に関係が深い3つのタイプをご紹介します。

    ぜひ、今のあなたの体と心の状態に当てはまる項目をチェックしてみてください。


    「肝タイプ」イライラ・怒りがたまりやすいあなたへ

    🔍こんな症状があれば肝タイプの可能性

    • キーンという高音の耳鳴りが強く感じる
    • ストレスがたまると耳鳴りが悪化する
    • 肩こり、首こりが強い
    • イライラしやすく、怒りっぽくなった
    • 月経前や感情が乱れたあとに耳鳴りが出ることがある
    • 目が疲れやすく、まぶたがピクピクする

    🧠原因と背景

    「肝」は、気の流れや感情のバランスに関係する臓です。更年期以降は肝のエネルギーが滞りやすく、ストレスによって「気滞(きたい)」と呼ばれる巡りの悪さが起こります。これが耳の神経にも影響を与え、高音の耳鳴りとして現れることが多いです。


    「腎タイプ」冷え・老化が気になるあなたへ

    🔍こんな症状があれば腎タイプの可能性

    • ジーと蝉が鳴くような耳鳴りがする
    • 聞こえが悪くなってきた
    • 夕方以降に耳鳴りが強くなる
    • 最近疲れやすくなった
    • 足腰がだるい・冷えが強い
    • 尿トラブルがある(回数が多い、出にくい)
    • 加齢にともなって耳鳴りが出てきた

    🧠原因と背景

    「腎」は、東洋医学で生命力の源とされる臓。年齢とともに腎のエネルギーは自然と減っていくため、50代以降は腎虚(じんきょ)と呼ばれる状態になりやすくなります。腎が弱ると聴力にも影響し、低音の耳鳴りが出やすくなるのです。


    「心タイプ」不眠・不安が強いあなたへ

    🔍こんな症状があれば心タイプの可能性

    • 不安感が強くなると耳鳴りがひどくなる
    • 夜になると耳鳴りが気になる
    • 寝つきが悪く、夢をよく見る
    • 動悸・息切れや焦燥感を感じやすい
    • 集中力が続かない・物忘れが気になる
    • 胸の辺りがモヤモヤする感じがある

    🧠原因と背景

    「心」は、文字通り“心神”=精神の安定をつかさどる臓です。心のエネルギーが乱れると、睡眠や情緒が不安定になり、それが耳鳴りとして現れることがあります。

    とくに更年期の女性では、ホルモン変化によって心神が乱れやすくなり、不安や動悸、そして耳鳴りがセットで起こる傾向があります。

    ▶次回予告:耳鳴りのセルフケアはどうする?

    「自分がどのタイプか、なんとなくわかった」
    「でも、どう対処したらいいの?」

    そんなあなたに向けて、次回はタイプ別にできる東洋医学的セルフケアを紹介します。

    • 肝タイプ:気の巡りをよくするツボや呼吸法
    • 腎タイプ:腎を補う食べ物や温活の工夫
    • 心タイプ:心を安定させる思考法や休息のとり方

    耳鳴りに振り回されず、日々の生活を少しでも楽にするための方法を、やさしく、具体的にお伝えします。

    【第3回はこちら】▶耳鳴りのセルフケア3選|ツボ・呼吸・心の整え方

    また、これまでの内容を踏まえて「もっと詳しく知りたい」「自分に合った治療を受けたい」という方は、耳鳴りの専用ページをご覧ください。

    🔗耳鳴り特設ページはこちら

  • 長年治らない耳鳴りの本当の原因とは?-更年期・自律神経との意外な関係

    長年治らない耳鳴りの本当の原因とは?-更年期・自律神経との意外な関係

    耳鼻科で異常がないのに、耳鳴りが続くあなたへ

    「キーン」「ジー」「ボー」…。

    静かな部屋でふとした瞬間に聞こえるその音。

    誰にも聞こえていないのに、自分だけが感じている「耳鳴り」は、不安を大きくし、心を重たくさせます。

    50代を迎え、更年期の入り口に差し掛かる女性にとって、このような症状は決して珍しいものではありません。

    実際に多くの方が、病院で検査を受けても「異常なし」と言われてしまい、どうしていいかわからないまま年月だけが過ぎているのです。

    この記事では、そんな「長年治らない耳鳴り」の背景にある原因について、東洋医学の視点も交えながら解説していきます。

    耳鳴りが続く女性に共通する悩みとは

    耳鼻科で異常がないのに治らない理由

    耳鳴りに悩んでいる方の多くが、まず最初に耳鼻科を受診されます。聴力検査やCT、MRIなど精密な検査を受けるものの、「異常は見つかりませんでした」と言われるケースは少なくありません。

    実は、耳鳴りの原因は耳の器質的な問題だけではないのです。

    現代医学では、「加齢性難聴」や「突発性難聴」などが見つからなければ、特に治療法もなく、経過観察になることが多いのが現実です。

    ですが、耳鳴りが日常生活に支障をきたすほど強くなっている場合、それは「体の他の不調のサイン」である可能性があるのです。

    更年期に入ってからの耳鳴りが多い理由

    実際、当院に来られる患者さんの中でも、「耳鳴りが始まったのは50代に入ってから」という方が非常に多くいらっしゃいます。

    その背景には、「更年期によるホルモンバランスの変化」と「自律神経の不安定さ」が関係していると考えられます。

    • 肩こり・冷え・不眠・めまい・動悸…
    • 子育てや仕事、家族関係のストレス
    • 「これからどう生きていこうか」という人生の節目での不安

    これらの心身の揺らぎが、自律神経の働きを乱し、耳鳴りという形で現れているケースが非常に多いのです。

    東洋医学から見る耳鳴りの本質的原因

    五臓六腑と自律神経の関係

    東洋医学では、体と心の働きは「五臓六腑(ごぞうろっぷ)」と呼ばれる臓器のエネルギーバランスによって保たれていると考えられます。耳鳴りは、こうしたバランスの乱れが「耳」という場所に現れたサインともいえるのです。

    耳鳴りと深く関係するのが「腎(じん)」「肝(かん)」「心(しん)」という3つの臓です。

    • は生命エネルギーの源であり、聴覚や老化に関係するとされます。
    • は気血の流れを司り、ストレスや怒りといった感情、自律神経のような働きに関係します。
    • は精神活動の中心であり、眠り・不安・動悸・集中力など「心神(しんしん)」の安定と深く関係しています。

    この三者のバランスが崩れることで、耳鳴りだけでなく、不眠や不安感、集中力の低下なども同時に起こりやすくなるのです。

    特に50代以降は、更年期にともなってホルモンや神経系が大きく揺らぐため、このバランスが一気に崩れやすいタイミングでもあります。


    「腎」「肝」「心」のバランスの乱れとは

    それぞれの臓が乱れることで、耳鳴りのタイプにも違いが出てきます。

    耳鳴りのタイプ東洋医学的な原因体と心の状態
    キーンと高音肝の緊張(気滞)イライラ、目の疲れ、肩こり
    ジーと蝉が鳴くような低音腎の虚弱(腎虚)冷え、疲れやすさ、加齢症状
    心の状態と連動する音心の不安定(心神不寧)不眠、動悸、焦燥感

    このように、「耳鳴り=耳の問題」ではなく、体の深い部分にある“気・血・神”の乱れとして捉えることが、根本改善への第一歩になります。

    当院では、東洋医学に基づく刺さない鍼で「肝」「腎」「心」の調和をはかり、気血の流れと心神の安定を整えることで、耳鳴りの改善を目指しています。

    ▶次回予告:自分の耳鳴りタイプを見つけるセルフチェック法

    「自分の耳鳴りのタイプが知りたい」「どこが乱れているのかがわかれば、もっと安心できるのに」——

    そんな声にお応えして、次回は東洋医学の体質分類をもとにした耳鳴りセルフチェック法をご紹介します。

    【第2回はこちら】▶あなたの耳鳴りタイプはどれ?東洋医学でわかるセルフチェック法

    また、記事の最後に、耳鳴りに関する詳しい情報や実際の症例、費用、治療内容などをまとめた【耳鳴り特設ページ】もご覧いただけます。

    🔗耳鳴り特設ページはこちら

  • 【長年の耳鳴り】耳鼻科でも治らない理由とは?根本から見直す東洋医学の視点

    【長年の耳鳴り】耳鼻科でも治らない理由とは?根本から見直す東洋医学の視点

    長年、耳鳴りが気になって耳鼻科に通っているけれど、なかなか治らない。そんな経験はありませんか?

    実は、耳鳴りは「薬」だけでは根本的に改善しないケースがほとんどです。

    この記事では、なぜ耳鼻科で耳鳴りが治らないのか、その理由と、東洋医学を活用した根本的なアプローチについて解説します。

    なぜ耳鼻科では耳鳴りが治らないのか?

    耳鼻科での耳鳴りの治療が難しいのには、明確な理由があります。

    「耳鳴り診療ガイドライン」によると、薬による治療の効果は限定的とされており、推奨されていないのが現実です。

    唯一、Aランクで効果があるとされているのは認知行動療法(CBT)です。

    また「TRT(Tinnitus Retraining Therapy)」という、耳鳴りを意識させない音を流す補聴器型の機器を用いた治療法も推奨されていますが、これも最初に行う教育的カウンセリングが効果のカギとなっていて、このカウンセリングがほぼ認知行動療法と同じ内容になります。

    しかし、これらの治療法を耳鼻科で丁寧に受けられる場所は、非常に限られています。

    耳鳴りは“脳のとらわれ”が原因?

    耳鳴りは単なる耳の問題ではなく、「脳」がとらわれてしまうことで増幅されていきます。

    これが耳鳴りが解消しにくい大きな要因の一つです。

    • 耳鳴りの音そのものよりも
    • 「気になる」「どうにかしたい」という思考から
    • さらに耳鳴りとらわれてしまい、その心理状況から不安やストレスが強くなり
    • そこから脳内の耳鳴り回路さらにが強化されてしまう

    この“とらわれ”を外すことが、改善への第一歩になります。

    東洋医学の根本的な耳鳴り解消アプローチ

    1. 首・耳周囲の詰まり(トリガーポイント)をほぐす

    心臓から出た血液は、首を通って頭に巡っていきます。その途中で耳の中にも血液が巡っていきます。このため首の詰まり(西洋医学的にはトリガーポイントと呼びます)があることで、耳への血液の巡りが邪魔されてしまいます。

    また頭の中を巡る水である脳脊髄液も首の詰まりがあることで邪魔されてしまいます。脳脊髄液と耳のリンパ液は管を通してつながっています。このため脳脊髄液の巡りを良くすることが耳のリンパの流れを良くすることにも繋がってきます。

    このため「首の詰まり(トリガーポイント)」を改善させることで、耳への血流とリンパの流れが整い、耳鳴りの状況を変化させることが期待できます。

    2. 脳の“とらわれ”を断つ「治神(ちしん)」

    耳「治神」とは、東洋医学の本質的な考え方で、心の状態を整える技術です。

    「耳鳴りを治そうとしない」という逆説的な心構えを持つことで、耳鳴りへの囚われから解放され、症状の軽減につながります。

    今すぐできる!耳鳴りセルフケア3選

    1. 首吊りストレッチ

    首の緊張を和らげて血流を促進

    まずは東洋医学の根本的な耳鳴り解消アプローチの1つめ「首・耳周囲の詰まり(トリガーポイント)をほぐす」ためのセルフケアになります。

    1. 曲池(きょくち)へのお灸

    耳と関連のあるツボ。リンパの流れを促します。

    これも東洋医学の根本的な耳鳴り解消アプローチの1つめ「首・耳周囲の詰まり(トリガーポイント)をほぐす」ためのセルフケアで、特に耳周囲の詰まりに対するものです。

    1. 「耳鳴りを治そうとしない」心のトレーニング

    無理に抑えようとせず、受け入れる姿勢を持つ。

    これは東洋医学の根本的な耳鳴り解消アプローチの2つめ「脳の“とらわれ”を断つ「治神(ちしん)」で、耳鳴りを撃退するために一番重要なセルフケアになります。

    キーワードは「治らなかったら治らなくてもいいや」です。

    もっと詳しくこのセルフケアのやり方を知りたい場合、この内容をテーマにしたYouTubeの中で実演入りでセルフケアの紹介をしています。

    まとめ:耳鳴り改善には「心」と「体」両面からのアプローチを

    耳鼻科でなかなか治らなかった耳鳴りも、「首・耳周囲の詰まり(トリガーポイント)をほぐす」ことと「脳の“とらわれ”を断つ」こと」の両方にアプローチすることで、改善の可能性が大きく広がります。

    ぜひ、今すぐ今日から始められるケアを取り入れてみてください。

    お知らせ

    群馬県伊勢崎市にある「大成堂中医針灸院」では、「刺さない鍼」によって心と体を整える施術を行っています。

    耳鳴りはもちろん、自律神経の乱れ、心身症のご相談も多数お受けしています。

    詳細は以下のリンクからご覧ください。
    大成堂中医針灸院の耳鳴り専門鍼灸

  • 耳鳴りは脳から治そう!

    耳鳴りは脳から治そう!

    耳鳴りを治そうと思って、耳だけをなんとかしようとしても、無駄骨に終わることがほとんどです。

    なぜなら耳鳴りの根本的な問題は、脳にあるからです。

    スタートは耳のトラブルでも、それを脳が感じてネガティブな感情と結びつき、さらにそれにとらわれた状態になってしまうことで、耳鳴りはこじれて治りにくくなってしまいます。

    だから脳から治す必要があるのです。

    西洋医学の耳鳴り治療ガイドラインでも、薬を含めほとんどの治療方法が効果なしとダメ出しをされている中、唯一効果ありとされているのが「認知行動療法」です。

    これはまさに脳に効かせる治療方法といえるものです。

    私が常に伝えている「治りたかったら、治ろうとするな」とか、「耳鳴りは、鳴るなら鳴っていろと開きなおろう」という考え方は、認知行動療法の中でも特にACTと呼ばれる新しい分野で、実は似たことを言っています。

    耳鳴りは脳から治しましょう!