カテゴリー: 生理不順について

  • 更年期の生理不順に対処するために知っておきたいこと

    更年期の生理不順に対処するために知っておきたいこと

    生理不順の原因は瘀血(おけつ)にあり?!

    先日、更年期の生理不順に悩む51歳の女性が来院されました。

     

    この方は子宮筋腫をもっていて、40代後半から生理不順や月経過多に悩まされていました。

    3ヶ月前に子宮筋腫の切除、筋腫分娩をしてから不正出血がはじまりました。

     

    婦人科では、ホルモンバランスの問題と言われ閉経治療は半年かかると言われています。

     

    現在、ピルと鉄剤を服用していて、閉経までこのままやり過ごしていきたいので、鍼灸も助けにならないかと相談を受けました。

     

    お体を診ると瘀血(おけつ)の存在がうかがわれ、瘀血治療を中心とした治療方針でスタートしました。

     

    ところが、治療開始すると不正出血が大量に出るようになりレバー状の血塊も大量に出てくるようになってしまいました。

    あまりにも大量なので、日中も夜用のナプキンをしなければならないほどです。

     

    ホルモン補充療法を開始して生理をストップさせて閉経までやり過ごそうかと患者さんが迷うほどでした。

     

    しかし、産婦人科でも経過観察している、応急処置として鉄剤を服用している、そしてある確信を持っていたので、患者さんと話し合いそのまま治療継続することにしました。

     

    その結果、三回目の治療後より不正出血はピタッと止まり、その後スムーズに閉経に移行していくことができました。

     

    更年期の生理不順とは?

     

    卵巣の中で卵が育ちながら女性ホルモンの一つであるエストロゲンが分泌されます。

    そして排卵をして高温期に入ると、もう一つの女性ホルモンであるプロゲステロンが分泌され、この作用で子宮内膜が厚くなっていきます。

     

    その後、受精をしていない状況の場合、子宮の内膜が剥がれ落ちて月経となります。

    このサイクルは基本的には定期的なもので、25~38日周期が正常と言われています。

     

     

    年齢を重ね、更年期に入っていくと卵巣の機能が低下してきます。

    最終的には排卵も起こらなくなり、子宮内膜を厚くする働きのプロゲステロンも減少します。

     

    ただ初期にはエストロゲンがまだ分泌されていて、エストロゲンにも子宮内膜を厚くする働きが少しあるので、時間がかかりますがだんだんと厚くなった内膜が限界にくると脱落して生理になります。

     

    このため周期が長くなり、最終的には閉経に至ります。

     

    瘀血(おけつ)とは?

     

    東洋医学では、気血水が体の中をスムーズにめぐっている状態が健康だと考えます。

     

    そして、この三つが上手くめぐらない状態があると、体にいろいろな問題が起こってくると考えます。

     

    血のめぐりが悪くよどんだ状態のことを瘀血と呼びます。

    瘀血があると色々な症状が起こってきます。

     

    生理の時に、経血にレバー状の塊があるのを見たことはある女性は多いと思います。

    あれは体内の瘀血が体の外に出てきたものだと東洋医学では考えます。

     

     

    生理時に、体の外に血が出ようとしていても、瘀血があることで血がめぐらず交通渋滞になっていると生理痛や生理不順がおこります。

     

    このため生理痛や生理不順を解消するためには、瘀血を取り除いて渋滞を解消する必要があるのです。

     

    冒頭に登場した患者さんは、この交通渋滞が一気に解消したために、大量の瘀血が一時的に出たものです。

    そのため、瘀血が出きったところで大量出血も止まったのでした。

     

    瘀血(おけつ)は万病のもととなる毒

     

    川の流れをイメージしてください。

    川がスムーズに流れていると水もキレイです。

     

     

    次に、川の水が上手く流れていない状況を想像してください。

     

    淀んで水が汚くなります。

    ボウフラがわいたり、くさい臭いもしてきます。

     

    同様に、血のめぐりが悪くなって血がよどんでいる状態である瘀血は、毒となって様々な体の悪さの原因となります。

     

    生理痛、生理不順、更年期、不妊。

    循環器疾患では、動脈硬化、不整脈。

    消化器疾患では、便秘、胃酸過多慢性胃炎。

    呼吸器ではぜんそく。

    皮膚科では湿疹などなど。

    多種多様の症状に関与してきます。

     

    瘀血(おけつ)のツボ

    瘀血を取り除くための具体的なツボを紹介したいと思います。

     

    セルフ灸のみで、更年期の生理不順が改善できてしまうものではありませんが、生理不順にともなっておこる例えば腹痛や頭痛、めまい、そのほか諸々の症状の改善に一役買うことはできます。

     

    また、更年期をスムーズに乗り切るためのサポート役にはなることができるでしょう。

     

    お腹、おへその下に大巨というツボがあります。

     

    左大巨は瘀血のサインです。(ちなみに右大巨は免疫のサインです)

     

    ここを押して痛みを感じる場合、残念ながらあなたの身体の中には瘀血があります。

     

    この瘀血のサインを確認できたら、今度は瘀血を取り除くツボです。

     

    それは足首の所にある中封と言うツボです。

    これも左側です。

     

     

    この左中封は瘀血を取り除くための強力なツボです。

     

    私たちプロが刺激をすると、一瞬で瘀血のサインである左大巨の痛みが消えてしまうことも良くあります。

     

    あまりにサッと消えてしまって、驚く患者さんも多々います。

     

    ツボの正確さが、効果の大きさにも関係してきますから、プロにツボを見つけてもらうのが効果的なのですが、セルフでお灸をする場合、お灸の熱は広がってツボに刺激が到達するので、ある程度ツボがずれていても大丈夫です。

     

    更年期を快適に過ごしていくために、ぜひ中封にお灸をして瘀血を取いていってください!

     

    中封の動画解説
    https://youtu.be/tABQfyTCRKo