カテゴリー: コラム

  • パニック症状には鉄を摂れ

    パニックの人は鉄分を摂りましょう!

    鉄分とメンタルの関係はお医者さんの中にも、その重要性を謳っている先生がいますし、論文でも発表されています。

    事実、私の患者さんの中にも、体を整えてある程度改善していたのに、途中から改善のスピードが落ちていた方が、鉄分を摂るようになって一気によくなったケースがあります。

    いくら体を整えても、そもそも不足している栄養素があれば、それは補う必要があります。

    血液検査で、貧血じゃないよという人でもフェリチンの値が低い場合、かくれ貧血となってしまいますので要チェック!

    食事で鉄分を十分に補給できるなら良いのですが、結構大変です。

    サプリメントに頼るのが一番手っ取り早い方法になります。

    ただ、その時に一つ注意が必要です。

    ヘム鉄とキレート鉄があります。

    海外からの個人輸入で手にいれられるキレート鉄は、非常に体内に吸収しやすいため、すぐにフェリチンの値が上昇やすいのですが、鉄過剰症になってしまうケースがあります。

    本来、鉄は必要量以上は体内に取り込まれないのですが、キレート鉄だけは鉄が十分に足りててもさらに吸収できてしまうため問題になっていますので、気をつけてください!

     

  • 花粉症の根本治療をしたければ花粉対策はするな!~アレルギー体質改善のために知っておきたいこと~

    花粉症の根本治療をしたければ花粉対策はするな!~アレルギー体質改善のために知っておきたいこと~

    アレルギーを改善したいと考える場合、多くの方はアレルギーを起こす物質(アレルゲン)をどうにか避けようとします。

    花粉症なら、いろいろな花粉対策をしますね。

     

    もちろんそれも効果があるわけですが、それでは永遠に花粉対策を続けていかなければなりません。

     

    花粉症からはじまり、アトピー、喘息、リウマチ、上気道炎など、アレルギーというのは原因物質によって炎症が体に起こっている状態です。

     

    普通は炎症が起こらないような状況でも、炎症になりやすい体になっているためにアレルギーになってしまいます。

     

    このため、炎症が起こりにくい体にしていくことが根本的な解決方法になります。

     

    アレルギーには、ステロイドが“最初は”良く効きますが、これはステロイドが炎症を抑える作用に長けているからです。

     

    (ただ、使っているとだんだん効果が落ちて、また強い副作用もあるのが問題ですが)

     

    本来「炎症」は体を修復する過程で必要ですが、必要でないところにまでまん延してしまうことが問題になるわけですね。

     

    ですから、アレルギー体質の人にとっては、どうやって炎症が起こりにくい体になっていくかが、非常に重要なのです。

     

    人の体は細胞でできていて、これが壊れて炎症が起こります。

     

    細胞膜は脂でできていますが、『肉食』が多いと「アラキドン酸」という物質が膜に多く存在することになります。

     

    炎症で細胞膜が壊れると、「アラキドン酸」が出てきて、そこから「プロスタグランジンE2」という物質が生れます。

     

    この「プロスタグランジンE2」が炎症を促進して、痛みを起こしていきます。

     

    ところが『オメガ3』や『不飽和脂肪酸』などの摂取が多いと、細胞が壊れた時に「プロスタグランジンE3」という物質が生れます。

     

    これは炎症を抑制する働きがあります。

     

    結論

    肉による脂→アラキドン酸→プロスタグランジンE2→炎症しやすい体

     

    オメガ3(アマニ油、エゴマ油、魚油)不飽和脂肪酸→プロスタグランジンE3→炎症しにくい体

     

    実は炎症はアレルギーだけでなく、慢性症状の多くの影の原因にもなっています。

     

    アレルギーに限らず体質を改善していくためにも、脂には気をつけたいものですね。

  • 更年期障害のホットフラッシュの対処法に鍼灸が効果ありと世界に認められる《ホットフラッシュのツボ動画付き》

    更年期障害のホットフラッシュの対処法に鍼灸が効果ありと世界に認められる《ホットフラッシュのツボ動画付き》

    ホットフラッシュとは?

     

    ホットフラッシュとは更年期におこる代表的な症状です。

    急に体が熱くなる顔が火照る発汗するといった症状が起こります。

     

    卵子から分泌される女性ホルモンのエストロゲンが、加齢とともに少なくなってくることがきっかけとなります。

    本来あるはずのエストロゲンが減ったのに、それに対応できずもっとエストロゲンを出そうと体はあせります。

    そして、そのあせりが全身のホルモンと自律神経のバランスをくずしてしまうことが更年期の症状です。

     

    ホットフラッシュは、血管を開閉する自律神経のバランスの乱れから起こると考えられています。

     

    ホットフラッシュの対処法としての鍼灸

     

    ホットフラッシュの対処法としては、少なくなっているエストロゲンを補充するHRT(ホルモン補充療法)が有名ですが、

     

    イギリスのデイリーグラフ紙には、ホットフラッシュに対して鍼灸治療が効果あるという記事が掲載されています。

     

    記事には、更年期の専門誌メノポーズに、「更年期のホットフラッシュに対して、鍼灸がどの程度効果があるのか?」のデータが発表されたと書かれています。

     

    ホットフラッシュの症状がある女性200人に対して、半年間で20回の鍼灸治療を受けたグループと、受けなかったグループに分けて結果を比較しました。

     

    鍼灸治療を受けたグループの47%が、8週間以内にホットフラッシュの頻度が減少したとのことで、12%の女性は8割方改善し、4%の女性は完全に治ったとのことです。

     

    実験の結果を受けて以下のような結論が出されています。

    ・ホットフラッシュに悩む女性は、低コスト、低リスクの治療として鍼灸をためす価値がある

    ・鍼灸を受けると、効果があるかどうかがすぐにわかる

    ・だいたい3~4週間で効果があったかがわかる

     

    ※実際の記事が掲載されているサイト

    http://www.telegraph.co.uk/news/2016/10/03/acupuncture-can-reduce-hot-flushes-in-menopausal-women-by-half-r/

     

    ホットフラッシュ対処のためのツボ

     

    このデイリーテレグラフの記事には、どのツボにどのような鍼灸の施術をおこなったかまでは詳しく紹介されていません。

     

    全身的に施術をしていると思われますが、

    せっかくですので当院でホットフラッシュに対して効果が認められているツボのご紹介をしたいと思います。

     

    照海がそのツボになります。

     

  • 頭痛、めまい、メニエール、頚椎症、自律神経失調 首専門鍼灸師が教える、首が原因で起こる症状5つのタイプ

    頭痛、めまい、メニエール、頚椎症、自律神経失調 首専門鍼灸師が教える、首が原因で起こる症状5つのタイプ

    首は人体の中でも、非常に重要な場所であります。
    そして、弱い場所でもあります。

    西洋医学ではあまり注目されていません。

    首が原因で起こってくる症状は多岐にわたり、非常に多くの症状の原因になるのですが、西洋医学ではそこに着目をしません。

    寝違え、むちうちやストレートネックなど、首そのものの症状には着目をしますが、めまいや頭痛、自律神経失調などにたいしては

    鍼灸の本場中国では、首の症状を5つのタイプに分類しています。

    同じ首の問題でも、タイプによって出てくる症状は違います。

    それぞれを少し詳しくみていきましょう。

    タイプ①:首型

    長年の姿勢の悪さや、疲労の蓄積、
    または、むかし首を痛めたことがあって、
    それが治りきっていないこと等が原因となるタイプです。

    マクラが合わずに、朝起きると首が辛い人もこのタイプです。

    首の筋肉や、首の骨(頸椎)を取り巻く靭帯などに問題があります。

    このタイプの人は、寝違えになり易い場合が多く、
    いつも首が凝っていて、首をしょっちゅう動かしたくなります。

    頭痛をともなう場合が多く、
    後頭部やこめかみに痛みを感じやすいのが特徴です。

    タイプ②:神経根型

    首型が長期にわたると神経根型に発展するケースが多く、 
    いわゆる頸椎症と呼ばれる症状のタイプです。

    首の痛み、こわばりに加えて、
    首から出ている神経に沿って肩・腕・背中・手などに、
    だるさ・痛み・しびれ等が出ます。

    重症になると、手の筋肉の委縮、筋力低下が出てきます。

    話題にも取り上げられることのあるストレートネックは、
    首型と神経根型の中間から神経根型あたりに位置しています。

    タイプ③:脊髄型

    首の骨の中を通る、脊髄が圧迫されるために起こるタイプです。

    首の骨の変形や、椎間板の突出などによって発症します。

    手足に力が入らなくなり、
    物を落としやすくなったり、歩く時につまずきやすくなったりします。
     
    重症になると、手足の麻痺が出てきます。

    基本的に、この脊髄型は鍼灸の適応から外れますが、
    鍼灸で症状が軽くなるケースも多くあります。

    タイプ④:椎骨動脈型

    これは、首の骨の中を通る動脈(椎骨動脈)が圧迫を受けて、
    血液の流れが悪くなることで、いろいろな症状が起るタイプです。

    脳への血流が悪くなることで、

    頭痛
    めまい
    目の症状
    ふらつき

    などの症状が起こります。

    不眠、記憶力の減退、精神抑鬱などの症状が起るケースも有ります。

    タイプ⑤:自律神経型

    これは、首の病変から自律神経に影響が及んだタイプです。

    自律神経系の影響が及ぶ範囲によって、
    脊髄型の症状や、椎骨動脈型の症状も現れる場合があります。

    首には迷走神経という副交感神経が通っています。

    迷走神経は体のさまざまな部分にまで伸びているので、
    これが影響をうけると全身にトラブルが発生する可能性があります。

    目:ドライアイや眼瞼下垂、目のかすみ、飛蚊症など
    耳:聴力減退、耳鳴り
    喉:梅核気、喉の炎症
    鼻:慢性鼻炎、鼻水
    口:口内炎、歯痛
    頭痛、めまい、慢性疲労
    手足、頭首の発汗異常
    動悸、血圧不安定、情緒不安定
     
    などなど、バラエティーに富んだ症状の原因となります。

    タイプ①~③までは、西洋医学でも重視しているものですね。

    しかし、タイプ④とタイプ⑤は、その症状の原因として重視されることは稀です。

    まとめ

    さまざまな症状を引き起こす、首のトラブルですが、
    大成堂では、首の治療を得意としています。

    首が原因で、長年めまいに悩まれ体が衰弱し、
    ご家族の方が葬式の準備を考えるようにまでなった方が、
    現在では元気に生活をされるようになったケースもあります。

    もしあなたが、タイプ④やタイプ⑤に書かれている症状に悩んでいて、病院で検査をしても異常が見つからず途方に暮れているのなら・・・

    諦めないでください!

    首を改善していくことで、そこから抜け出ることができる可能性が大いにあるのだから。

  • 頭痛 顔面痛 首肩こりの僧帽筋

    頭痛 顔面痛 首肩こりの僧帽筋

    僧帽筋はカトリック修道士が着る衣装のフードに似た形であることから、この名がつけられています。

    ひし形で、首肩背中にある筋肉では、一番体の表面にある大きな筋肉です。

     

     

     

    僧帽筋は三つに分かれた筋肉が、一つにまとまったもので、上部繊維、中間部繊維、下部繊維の僧帽筋繊維で構成されています。

     

    首のトリガーポイントと関係するのは、この中の上部の筋肉です。

     

    僧帽筋上部繊維

     

    上部繊維は、上は後頭部に付着して、下は鎖骨の外三分の一についています。

     

     

    上部繊維にできたトリガーポイントは、胸鎖乳突筋に沿った痛みを感じるようになります(関連痛)。

     

    関連痛が強い場合、更にこめかみや下顎にまで、時には後頭部や下あごの臼歯にまで関連痛が広がる場合があります。

     

    また、このトリガーポイントはめまいを引き起こすことも報告されています。

     

    自分で出来る対処法

     

    ショルダーバックを片側にかけていると、掛けている側の僧帽筋(それと肩甲挙筋)に負担がかかり、トリガーポイント発生の原因にもなります。

     

  • 目の奥・頭の中が痛んだら頭・頚板状筋

    目の奥・頭の中が痛んだら頭・頚板状筋

    目の奥が痛くなるタイプの頭痛があります。

    酷い人になると、「目をくり抜いてしまいたい!」という程になることもあります。

     

    この目の奥の痛みは、「目」そのものではなくて「首」が原因の場合が本当に多くあります。

     

    首のどこに問題があるかというと・・・

     

    目の奥の痛みを引き起こす頚板状筋

     

    トリガーポイントシリーズ①でご紹介した後頭下筋群も含め、首の後ろの筋肉はさまざまな痛みを引き起こしてきます。

     

    その中の一つ、頚板状筋にトリガーポイントが発生すると、目の奥に痛みを感じるようになります。

     

     

    頚板状筋に発生するトリガーポイントは2ヵ所あります。

    この中で、下部のトリガーポイントは首の付け根の痛みを引き起こすのみですが、上部のトリガーポイントは目の奥に痛みが広がります(関連痛)。

     

     

    このように書いてはきましたが、目の奥の痛みの原因すべてが頚板状筋のトリガーポイントだとは言いません。

    首の他のポイントも関係してきます。

     

    首のトリガーポイント①や②で紹介してきた、後頭下筋群や僧帽筋も関係がありますし、今後紹介する予定の、後頚筋群も関係してきます。

     

    後頚部と目の関係

     

    後頚部には目と関係のあるツボが沢山あります。

    なぜでしょうか?

     

    視覚を主る中枢の、大脳視覚野が後頭部にあるのが一つの原因だと思われます。

     

    視覚の問題を治療するときに使うスクリーン穴と呼ばれるツボがありますが、首のトリガーポイント②で紹介した僧帽筋が後頭部に付着する付近にあります。

     

    また天柱や風致も目の症状によく使われるツボです。

     

  • 花粉症は気のせい?花粉症で試したいツボとお灸

    花粉症は気のせい?花粉症で試したいツボとお灸

    群馬県 伊勢崎市の鍼灸院
    大成堂より

    院長の藤田です

    花粉症の季節になりました。

    敏感な人は2月ごろから大変ですね。

    大成堂の患者さんの中にも「花粉症が・・・」という方が多くなってきています。

    よく「先生は花粉症は?」と聞かれますが、「花粉症は気のせいと考えることにしています」とお答えしています。

    実際に私自身、春先にくしゃみや鼻水がたくさん出る日が何日かありますが、本当に花粉症の症状が軽くなるから不思議です。

    花粉症に限らず、アレルギーは心との関係が非常に強く、心の状態によって症状が変化する場合が多くあります。

    一つ例をとってみましょう。

    「漆」という植物はかぶれることで有名ですが、これは「漆」ではないという催眠をかけて触れさせるとかぶれない場合があるそうです。

    花粉症も催眠で治ってしまうケースもあります。

    それほど心の状態がアレルギー反応と深い関係がある、ということなんですね。

    花粉症のツボ

    ★ネーブル四点
    へそ周りの四点のツボです。

    ネーブルとは、柑橘類のことではありませんよ、英語でへそのことをnavel(ネーブル)といいます。

    ここに置き鍼を貼り付けるのが手っ取り早いです。
    お灸も良いですが、皮膚が薄いので火傷に注意してください。

    ★上星
    額の生え際の中央から2cmほど頭のてっぺんに向かったところにあります。

    少し凹んでいて、押すと痛いところです。

    上星は鼻の症状全般に使えるツボです。

    以前、風邪を引いた後に、嗅覚異常になってニオイが全く分からなくなってしまった時ことがありました。

    その時に、このツボに自分で鍼をして何とかもとに戻した経験があります。

  • 更年期の生理不順に対処するために知っておきたいこと

    更年期の生理不順に対処するために知っておきたいこと

    生理不順の原因は瘀血(おけつ)にあり?!

    先日、更年期の生理不順に悩む51歳の女性が来院されました。

     

    この方は子宮筋腫をもっていて、40代後半から生理不順や月経過多に悩まされていました。

    3ヶ月前に子宮筋腫の切除、筋腫分娩をしてから不正出血がはじまりました。

     

    婦人科では、ホルモンバランスの問題と言われ閉経治療は半年かかると言われています。

     

    現在、ピルと鉄剤を服用していて、閉経までこのままやり過ごしていきたいので、鍼灸も助けにならないかと相談を受けました。

     

    お体を診ると瘀血(おけつ)の存在がうかがわれ、瘀血治療を中心とした治療方針でスタートしました。

     

    ところが、治療開始すると不正出血が大量に出るようになりレバー状の血塊も大量に出てくるようになってしまいました。

    あまりにも大量なので、日中も夜用のナプキンをしなければならないほどです。

     

    ホルモン補充療法を開始して生理をストップさせて閉経までやり過ごそうかと患者さんが迷うほどでした。

     

    しかし、産婦人科でも経過観察している、応急処置として鉄剤を服用している、そしてある確信を持っていたので、患者さんと話し合いそのまま治療継続することにしました。

     

    その結果、三回目の治療後より不正出血はピタッと止まり、その後スムーズに閉経に移行していくことができました。

     

    更年期の生理不順とは?

     

    卵巣の中で卵が育ちながら女性ホルモンの一つであるエストロゲンが分泌されます。

    そして排卵をして高温期に入ると、もう一つの女性ホルモンであるプロゲステロンが分泌され、この作用で子宮内膜が厚くなっていきます。

     

    その後、受精をしていない状況の場合、子宮の内膜が剥がれ落ちて月経となります。

    このサイクルは基本的には定期的なもので、25~38日周期が正常と言われています。

     

     

    年齢を重ね、更年期に入っていくと卵巣の機能が低下してきます。

    最終的には排卵も起こらなくなり、子宮内膜を厚くする働きのプロゲステロンも減少します。

     

    ただ初期にはエストロゲンがまだ分泌されていて、エストロゲンにも子宮内膜を厚くする働きが少しあるので、時間がかかりますがだんだんと厚くなった内膜が限界にくると脱落して生理になります。

     

    このため周期が長くなり、最終的には閉経に至ります。

     

    瘀血(おけつ)とは?

     

    東洋医学では、気血水が体の中をスムーズにめぐっている状態が健康だと考えます。

     

    そして、この三つが上手くめぐらない状態があると、体にいろいろな問題が起こってくると考えます。

     

    血のめぐりが悪くよどんだ状態のことを瘀血と呼びます。

    瘀血があると色々な症状が起こってきます。

     

    生理の時に、経血にレバー状の塊があるのを見たことはある女性は多いと思います。

    あれは体内の瘀血が体の外に出てきたものだと東洋医学では考えます。

     

     

    生理時に、体の外に血が出ようとしていても、瘀血があることで血がめぐらず交通渋滞になっていると生理痛や生理不順がおこります。

     

    このため生理痛や生理不順を解消するためには、瘀血を取り除いて渋滞を解消する必要があるのです。

     

    冒頭に登場した患者さんは、この交通渋滞が一気に解消したために、大量の瘀血が一時的に出たものです。

    そのため、瘀血が出きったところで大量出血も止まったのでした。

     

    瘀血(おけつ)は万病のもととなる毒

     

    川の流れをイメージしてください。

    川がスムーズに流れていると水もキレイです。

     

     

    次に、川の水が上手く流れていない状況を想像してください。

     

    淀んで水が汚くなります。

    ボウフラがわいたり、くさい臭いもしてきます。

     

    同様に、血のめぐりが悪くなって血がよどんでいる状態である瘀血は、毒となって様々な体の悪さの原因となります。

     

    生理痛、生理不順、更年期、不妊。

    循環器疾患では、動脈硬化、不整脈。

    消化器疾患では、便秘、胃酸過多慢性胃炎。

    呼吸器ではぜんそく。

    皮膚科では湿疹などなど。

    多種多様の症状に関与してきます。

     

    瘀血(おけつ)のツボ

    瘀血を取り除くための具体的なツボを紹介したいと思います。

     

    セルフ灸のみで、更年期の生理不順が改善できてしまうものではありませんが、生理不順にともなっておこる例えば腹痛や頭痛、めまい、そのほか諸々の症状の改善に一役買うことはできます。

     

    また、更年期をスムーズに乗り切るためのサポート役にはなることができるでしょう。

     

    お腹、おへその下に大巨というツボがあります。

     

    左大巨は瘀血のサインです。(ちなみに右大巨は免疫のサインです)

     

    ここを押して痛みを感じる場合、残念ながらあなたの身体の中には瘀血があります。

     

    この瘀血のサインを確認できたら、今度は瘀血を取り除くツボです。

     

    それは足首の所にある中封と言うツボです。

    これも左側です。

     

     

    この左中封は瘀血を取り除くための強力なツボです。

     

    私たちプロが刺激をすると、一瞬で瘀血のサインである左大巨の痛みが消えてしまうことも良くあります。

     

    あまりにサッと消えてしまって、驚く患者さんも多々います。

     

    ツボの正確さが、効果の大きさにも関係してきますから、プロにツボを見つけてもらうのが効果的なのですが、セルフでお灸をする場合、お灸の熱は広がってツボに刺激が到達するので、ある程度ツボがずれていても大丈夫です。

     

    更年期を快適に過ごしていくために、ぜひ中封にお灸をして瘀血を取いていってください!

     

    中封の動画解説
    https://youtu.be/tABQfyTCRKo

  • 大成堂が生まれた日

    大成堂が生まれた日

    時々、大成堂の名前の由来を患者さんから尋ねられることがあります。

    今までも、大成堂のニュースレターや、LINE@、Facebookなどで紹介したことがありますが、最近大成堂を知った人には届かないので、今回改めて書いてみたいと思います。

     

    鍼灸の名人を訪ねて〇〇里?!

     

    私が中国に鍼灸の修行に行っていた時にまで話がさかのぼります

     

    中国の東北地方にハルピンという都市があります。

    ここはロシアと隣接していて、冬は零下30℃にもなる極寒の地です(私が訪れたのは夏だったので涼しくて良かったです)

     

    なぜハルピンに行ったかというと、とてつもない鍼の名人がいると聞いていたからです。

    当時、私は天津中医学院に留学をしていました。

     

    この学院に留学したのも、日本にいる時に鍼の名人がいるという話を聞いていたのが理由です。

    その天津の鍼の名人が、私よりもさらに名人がハルピンにいると教えてくれました。

    それを聞くと、ぜひとも訪ねて行きたいと思うようになったのでした。

     

    天津からハルピンまでの決死行

    春休みを利用して、ハルピンまで鍼灸の名人を訪ねて一人旅をすることにしました。

    天津からハルピンまで寝台列車で行きました。

    ちょうどSARSが流行していた年です。

     

    前年の暮れに、広東の方でスゴイ風邪が流行っているらしいという噂を聞いていましたが、それからあっという間に北京に拡大して、留学をしていた天津にも感染者が出てしまっていました。

     

    身の危険を感じながらも、どうしても鍼の名人を訪ねて行きたくて、天津からハルピンへの列車の旅を決行したのでした。

     

    列車の中で周りに咳をしている声が聞こえてくると、大丈夫か??とビビッていました。

     

    やっとの思いでハルピンに到着し、その鍼の名人に会いに行くと、

     

    「今、SRASが流行している。遠方から来てくれた友人を病院に招き入れるなどという危険な目にあわせることはできない」と、その先生の病院で教えてもらうことはできないと言われてしまいました・・・

     

    どうしても秘伝を学びたい!

    病院で実習ができないと言われがっかりしていたところ、その鍼の名人は言いました。

    「お前のホテルでマンツーマンで、鍼の術を伝授しよう」と。

     

    ハルピンに行く前に、天津中医学院でお世話になっている教授に事前に連絡をとってもらっていました。

     

    中国は、縁故の関係があると強力で、普通なら実現できないこともあっさりと実現できることが多々あります。

     

    ということで、ホテルに缶詰めになって、鍼の名人から手とり足とり技を教えてもらいました。

     

    焼山火
    透天涼
    青龍擺尾
    白虎揺頭

    一般の人には聞きなれない名前ですが、鍼の技術の名前です。

     

    なんだか中国拳法の技の名前のようですね。。。

     

    昔の中国の文献に載っているけど、実際に使いこなせる人がほとんどいない、「伝統手法」というものを教えていただくことができました。

     

    中国には鍼灸や漢方の文献がたくさんあります。

    素問・霊枢
    難経
    傷寒論

    など、この辺りは良く知られていますが、

    針経指南
    針灸聚英
    針灸大全
    標幽賦
    金針賦

    などは、鍼灸師でも知らない人が多くはありません。

     

     

    大成堂が生れた日

     

    こういった鍼灸の文献の中に「鍼灸大成」という書物があります。

    比較的新しい「明」の時代の書物で、それまでの時代に書かれた鍼灸の文献の集大成のような本です。

     

    ハルピンの鍼の名人は、技術だけでなく学問にも長けていて、その「鍼灸大成」を現代に蘇らせるプロジェクトのリーダーを務めていました。

     

    ホテルで講義を受けている時に、「鍼灸の文献を読むなら、この「鍼灸大成」を読みなさい」と授けられ、

     

    「私に学んだ日本人は、お前が二人目だ」

     

    「以前、私に学んだ日本人は、新潟で「大成堂」という名前で開業してとても繁盛したと聞いている。しかし、病気で若くして死んでしまったそうだ」と寂しげに話しました。

     

    その話を聞いた時、帰国後に開業する予定だった治療院の名前が決まったのでした。

     

  • 腱鞘炎の隠れた原因は扁桃腺だった!【腱鞘炎のセルフ灸動画解説付き】

    腱鞘炎の隠れた原因は扁桃腺だった!【腱鞘炎のセルフ灸動画解説付き】

    包丁やフライパンが持てない。

    テニスやゴルフのスイングが大変。

    手首に力を入れられない、親指に力を入れられない。

     

    育児や家事、仕事、スポーツなどが原因で腱鞘炎になってしまい、なかなか治らない女性が多くいます。

     

    趣味のスポーツが原因なら、治るまで休むこともできます。

    ですが、家事や仕事での作業が負担となって腱鞘炎になる場合、そうもいきません。

     

    仕事を長期に休んだり、最悪辞めなくてはいけなくなってしまう事もあります。

     

    腱鞘炎になったらどうすればいいのでしょうか?

    いえ、腱鞘炎にならないようにするにはどうすれば良いのでしょうか?

     

    腱鞘炎になってしまった人も、

    なんだか手首や指が痛くて「腱鞘炎?」と思っている人も、

     

    この記事を読むことで「どうすればいいのか?」その対処法が見つかるでしょう。

     

    腱鞘炎で内視鏡が持てず手術が困難な消化器外科医の話

    数年前、大学病院の鍼灸外来を担当していた時の話です。

    他科の医師に鍼灸治療を頼まれました。

     

    なんでも、「明日担当する内視鏡のオペがあるのだけれども、手首が痛くて内視鏡をしっかりと操作できそうにないので何とかならないか?」というものでした。

     

    その先生は手が小さくて内視鏡のグリップするところに合わないために、良く手首が痛くなってしまうとのことでした。

     

    今回は痛みも強く、明日のオペに支障が出そうだと困っていたところ、病院内に東洋医学科の鍼灸外来があるのを知って、藁にもすがる思いで鍼灸を受けてみようと思ったそうです。

     

    なんで腱鞘炎になるの?

    人体は筋肉で関節を動かすことで体を動かしています。

     

    筋肉は太い状態ですが、この筋肉が細くなって腱となり、その腱が骨にくっつきます。

     

    筋肉が収縮することで、腱が引っ張られ、骨(関節)が動きます。

    これが体の動く仕組みです。

     

    この腱が骨にしっかりと固定されて動きやすくなるために腱を包んでいるものがあります。

    それが腱鞘です。

     

    腱をぐるっと腱鞘がつつみ取り巻いていて、この中で腱が行ったり来たりしています。

     

    手首や手指を使いすぎると、この腱鞘と腱がオーバーヒートしてしまい炎症が起こります。

    これが腱鞘炎のメカニズムです。

     

    更に、腱鞘の炎症がひどくなると鞘が腫れてきます。

     

    腱鞘が腫れることで、腱の通り道が狭くなってしまうと、腱がひっかかって動きが悪くなります。

    これがばね指です。

     

    腱鞘炎とばね指は同じメカニズムの中の、違うステージと理解していただければよいかと思います。

     

    腱鞘炎のメカニズムは分かりました。でも全員が腱鞘炎にはなりませんよね?

    はい、その通りです。

     

    腱鞘炎になるのは、男女別だと女性の方が多い傾向にあります。

     

    これには諸説あって、女性ホルモンの関係が原因なのではと言われています。

    今までにも、更年期に入り急に腱鞘炎になった女性の患者さんを何人も診ています。

     

    また、もう一つ大きな原因として考えられるのは、女性の方が総じて筋力が弱いことです。

     

    筋力が弱いと、メインになる筋肉のみに頼って力を使ってしまいます。

    筋力があれば、メイン以外の筋肉もサポートに回り分散して力を使うことが出来ます。

     

    育児の時の上腕骨内側上顆炎(いわゆる野球肘)や腱鞘炎は、筋力がない女性が頻繁に赤ちゃんを抱っこする機会が増えて負担がかかったために起こる炎症ですが、筋力があれば他の筋肉にも負担が分担されて炎症が起こらなかった可能性もあります。

     

    女性ホルモンや筋力の弱さが、腱鞘炎が起こりやすい原因となるわけですが・・・

     

    ここからがこの記事の本題です。

     

    鍼灸医学では違った観点から、腱鞘炎の原因を考えます。

    それが扁桃腺です。

     

    鍼灸医学による、腱鞘炎と扁桃腺の関係の解説

    鍼灸医学の中に、扁桃腺を重視する一派があります。※ハーバード大学医学部の鍼灸の授業でも取り入れられている長野式鍼灸治療法という一派

     

    扁桃腺には喉頭扁桃、咽頭扁桃、舌扁桃、口蓋扁桃という四つの扁桃があって、これらがワルダイエルの咽頭輪というものを形成しています。

     

    喉の奥に存在するこれらの扁桃は、免疫の最前線といえる器官です。

     

    鼻と口を通って外界から入ってきた各種雑菌等が、この扁桃でキャッチされ排除されます。

     

    扁桃腺というと、一昔前はあってもなくてもあまり変わらない器官と認識されていました。

     

    しかし、扁桃腺を取ってしまうと、免疫が弱くなると現在では認識されるようになってきています。

    そのため現在では、扁桃腺を簡単に手術で摘除しないようになってきました。

     

    さて、この免疫の最前線基地の扁桃腺ですが、細菌にやられて感染し慢性炎症を起こしてしまうことがあります。

     

     

    また、ストレス、過労、加齢、外傷、寒冷、アレルギー、環境の変化等により体力が弱り免疫力が落ちることでも、扁桃腺が弱体化し慢性炎症を起こします。

     

    この状態が長く続くと、二次感染症として弱い臓器にトラブルを起こします。

    特に結合組織に影響が出やすく、腱や靭帯の炎症の原因となるわけです。

     

    ですから、腱鞘炎の原因として扁桃腺を取り上げましたが、実際には結合組織すべての炎症の原因になりうると考えられるわけです。

     

    扁桃腺を強化するためには

     

    上記にある長野式鍼灸治療法では、扁桃を強化することが治療の中で大きなウェートを占めています。

     

    そのため、基本的な治療の中に扁桃強化の鍼灸治療が入っています。

     

    扁桃が弱体化している時には天牖というツボにサインが出ます。

    そして、この際に使われるツボは曲池というツボです。

    その他、大椎照海といったツボの使います。

     

    冒頭に出てきた消化器外科の先生の腱鞘炎は、曲池天牖を中心としたツボを使い、更に腱鞘炎の特効穴である帯脈も使用しました。

     

    その場で痛みが軽減し、翌日の手術は無事おこなうことが出来ました。

     

    腱鞘炎のセルフ灸

     

    扁桃腺は免疫に関与するので、免疫強化としてもこれらのツボは使えます。

     

    免疫強化にはお灸が相性がいいので、これらのツボに日常的にお灸をしていくことは、扁桃腺を強化して、免疫力を高めることができますので、ぜひ習慣的にお灸をしてほしいところです。

     

    扁桃腺を強化し、免疫力をUPするツボ《曲池》

    腱鞘炎の特効穴《帯脈》