カテゴリー: 膝痛

  • 【改善事例】ヨガの先生に紹介されて来院した膝痛の60代男性

    67歳 男性 群馬県 伊勢崎市

    主訴

    左膝、左股関節痛  

    症状

    二週間前から左膝の痛みを強く感じるようになる。

    もともと、左膝は調子が悪く、整形外科で水を抜く、痛み止め、ヒアルロン酸などの治療を受けていた。

    正座できない。

    以前から腰痛持ち。

    5年前に胃がんの手術をして体重が減少し、それから腰の調子も悪くなる。

    腰も膝もレントゲンでは異常は見られなかった。

    奥様がヨガ教室に通うようになり、一緒に週に一、二回行くようになった。

    そこのヨガの先生に、大成堂を紹介されて来院することに。

    食欲、便通問題なし。

    夜間、小便で二回起床。

    20年前、スキーで足首や膝を捻挫している。

    治療

    週に一回のペースで治療をスタート。

    左膝局所の問題と、左股関節にも問題があるので、そこに対する治療を中心におこなった。

    使用したツボは、陰陵泉 環跳 陽陵泉 曲泉 膝眼 足臨泣 etc

    経過

    一回目の治療後、膝の痛みは10→5程度に。

    階段を上る時、正座で痛みが強くなる。

    二回目の治療後、10→3程度に。

    正座はできない。

    三回目の治療後、ほぼ痛みは無い。

    正座をしても、やや違和感がある程度に。

    四回目の治療後調子良い。

    全五回の治療で、略治として治療を終了した。

    膝の痛みは変形が原因で無いことが多い

    膝痛というと、どうしても軟骨がすり減ってとか、骨が変形してというイメージが強いと思います。

    しかし、軟骨や骨が関係ない膝痛は非常に多いのです。

    この患者さんも同様です。

    膝窩や膝内側の筋肉や靭帯の問題の場合、これを緩めていけば非常に速やかに改善していきます。

    膝がパンパンに腫れているケースでもそれは同様です。

    腫れるということは、筋や靭帯に炎症がおこり腫れるわけです。

    水を抜いても炎症が治まるわけではありません。

    鍼灸には、血流を促進して炎症を起こす物質をその部分にとどめさせないことで、炎症を抑える働きがあります。

    筋肉の過緊張も、鍼灸の特異とするところですから、この患者さんのような膝痛は非常に得意なケースとなるわけです。

    正直言うと、この患者さんにはもう少し継続治療をしてほしかったのですが、基本的に男性は目の前の痛みが解消されると、そこで治療を止めてしまう傾向にあります。

  • 【改善事例】半月板に亀裂が入っていると言われた膝痛の60代女性

    68歳 女性 群馬県 伊勢崎市

    主訴

    膝の痛み 坐骨神経痛  

    症状

    9ヶ月前、突然寝ている時にズキンと膝の痛みを感じるようになる。

    昼間は痛みは感じていなかったので、そのままにしていた。

    だんだんと頻度が増えて、昼間も痛みを感じるようになってきたので、5ヶ月前に整形外科を受診してレントゲン撮影をしてが異常はみられなかった。

    ヒアルロン酸注射を二ヶ月半つづけた。

    3ヶ月前にMRI検査をしたところ、半月板に亀裂が入っていると言われ、痛み止めが処方される。

    2ヶ月前に再び違う病院でレントゲン、MRI検査をして、やはり半月板に亀裂が入っていると言われる。

    その頃より、膝の裏も痛みを感じるようになる。

    そんな時、長時間(6~7時間)の車の運転をしたところ、臀部から脚全体が痛くなり歩けない状態になる。

    現在、その時よりも脚の痛みはましになっているが、膝と共に臀部から脚全体の痛みに悩んでいる。

    夜寝ていて、じっとしている時でも痛みを感じている。

    治療

    週に一回のペースで治療をスタート。

    半月板の亀裂が認められると診断されているが、膝窩の筋肉にも問題があり、また膝の部分の血流の問題もあり、そこを改善する治療をおこなった。

    また、坐骨神経痛に関しては、梨状筋に問題があるので、そこを緩める治療を中心におこなった。

    使用したツボは、曲池 陰陵泉 商丘 陽陵泉 京門 環跳 委中 etc

    経過

    一回目の治療後、臀部から脚の痛みはほとんどない。

    膝窩の痛みはまだある。歩いていて膝の痛みあり。

    夜中に膝が痛くて目が覚めることがあったが、それは無くなった。

    二回目の治療後、膝窩の痛みは軽くなっていたが、治療後5日目ぐらいから徐々に痛みがぶり返してきた。

    臀部はだる痛い。

    三回目の治療後、膝窩の痛みは10→3ほどに。膝の前側の痛みは10→7程度に。

    臀部は一昨日は痛かったが、昨日、今日は忘れるぐらいに。

    腰のMRI検査をしてすべり症と診断された。

    病院で膝の水を抜き、水が茶色がかっていたのでリウマチの検査もした。10日後に結果が出るとのことだった。

    その後も同様のペースで治療を三ヶ月間継続、良くなると動いてしまいまた痛みが強くなるなど一進一退の中で、少しずつ軽減はしていました。

    その後、家庭の事情で、一旦治療が休止。

    三ヶ月後にまた週一回のペースでの治療を再開した。

    膝の水は大分たまらなくなってきていた。膝の痛みも10→3程度を推移していた。

    週一回のペースで治療を三ヶ月して、膝痛、坐骨神経痛とも小康状態に保てるようになってきた。

    旅行などで坂道を歩く事があっても、それで後にダメージが残るようなことが無くなる。

    現在も治療は継続中。

    膝の半月板に亀裂が入っていても

    半月板に亀裂が入っている場合、それを鍼灸で修復させることはできません。

    しかし、半月板の亀裂だけが、この患者さんの膝の痛みの原因ではありません。

    膝を取り囲む筋肉にも問題が波及して、それが痛みを増幅させます。

    特に膝窩の痛みは、膝窩筋という筋肉に問題があって痛みが起こることが多く、この筋肉を緩めることで痛みが速やかに軽減していくケースが多くあります。

    また、この患者さんは坐骨神経痛もあるので、これが膝の痛みをさらに複雑化させている可能性もありました。

    坐骨神経痛も、この患者さんはすべり症があると診断されていますが、それが直接の原因ではないとみたて、腰および臀部の筋を緩める治療を継続していくことで、痛みが軽減していきました。

    膝痛も坐骨神経痛も、器質的な問題が絡んでいるので時間はかかりますが、鍼灸治療を継続していくことで改善してきました。

    これが明らかな器質的な問題がなければ、もっと早く痛みは改善していたことでしょう。

  • 【改善事例】10年以上続く膝痛の60代きゅうり農家のお母さん

    65歳 女性 群馬県 伊勢崎市

    主訴

    左ひざの痛み 指の関節の痛み 右肩の痛み

    症状

    10年以上前から左膝の痛みがある。

    膝を曲げるのが辛く、正座ができない。

    歩行、自転車に乗る時に膝の痛みが強い。

    指はへバーデン結節で変形している。

    曲げると痛い。

    右肩は挙げる時に肩の後ろが痛む。長年テニスをしていて負担をかけていた。

    治療

    週に一回のペースで治療をスタート。

    膝の治療をメインに、扁桃弱体の状態が見受けられるので、それに対応するツボを使用した。

    使用したツボは、陰陵泉 商丘 足三里 四瀆 曲池 失眠etc

    経過

    一回目の治療後、膝の痛みは10→3程度に軽減した。

    歩行時の痛み軽減。自転車に飛び乗れた。

    二回目の治療後、3日後に運動をしてその次の日に膝の痛みが一時的に悪くなったが、すぐに良くなった。

    膝の状態は良い感じ。

    きゅうりを植える準備で体が疲れる。

    三回目の治療後、一度つまずいて膝に負荷をかけてしまった。

    膝に違和感が残ったが、自分でお灸をしたら消失した。

    へバーデン結節は痛い。

    右肩は最初の時よりは軽くなっている。

    五回の治療で、膝の状態は悪くない。

    自転車に乗れる、段差を降りる時に膝が痛くない。

    現在も週に一回のペースで治療継続中。

    叔父さんが柔道整復の先生

    この患者さんは、前回の症例に登場したキュウリ農家のお母さんです。

    鍼灸を受けて非常に体が改善した息子さんに紹介されて来院されました。

    親子そろって、鍼灸の刺激に素直に反応して、体が改善の方向に向かいやすい体質でした。

    そのため、かなり順調に改善傾向を示していました。

    よくよく聞くと、叔父さんが柔道整復の先生だったそうです。

    そして、よく治療をしてもらっていたそうです。叔父さんが亡くなってからは、治療は受けていなかったそうですが。

    長年治療を受けていたことで、体が良い反応を起こしやすい状態に変化していか可能性も考えられます。

    中国では鍼灸の治療をする時に、気功の練習を同時に行っていくことで効果を出やすくすることがあります。

    これは、東洋医学的に言うと、気血がめぐりやすい状態に体を持っていくという意味があります。

    スポーツをしている人も、鍼灸の治療が効きやすいケースが多いのですが、これも同じ理由です。

    この患者さんの場合は、小さいころから柔道整復の叔父さんに治療を受けていたことで、同じ状態になっているとも考えられます。

  • 【改善事例】膝の痛みは膝の関節が原因ではない!?大型バイクのツーリング後の膝痛に悩む30代男性

    患者

    38歳 男性 群馬県 伊勢崎市

    初診

    平成27年9月

    主訴

    両膝の痛み 階段の上り下りがつらい

    症状

    一年前に大型バイクの免許をとった。

    その一ヶ月後、ツーリングで遠くまで大型バイク運転した翌日、右膝の痛みが出るようになった。

    体を動かすのが好きで、野球、バレーボール、ボーリングなどをしていたが、今は膝の痛みが強くできない。

    鍵屋の仕事をしていて、鍵の交換などの作業ができない。仕事に支障が出ている。

    膝の屈曲時に、膝全体が痛く、曲げにくい。

    夜寝ている時の痛みは無い。

    やや膝関節に熱感あり、腫れは無い。

    治療

    週に一回のペースで、鍼灸治療を行う。

    膝周り、膝疾患に関連のある足腰の治療をおこなった。

    使用したツボは、陰陵泉 商丘 血海 屈伸 L4L5夾脊穴。

    経過

    一回目の治療後、膝の痛みは10→4にまで軽減した。

    しかし、飼っている犬に突然飛びつかれ、脚に不意の力が加わり、左太ももの内側を痛めてしまった。

    そこで、二回目の治療では、膝の治療に加えて太もも内側に対しても治療をした。

    といっても、膝の治療が、太ももの治療につながっているので新しいツボは加えず、同じツボで刺し方を変化させて、両方の治療を同時に行った。

    この二回目の治療で、膝の痛みと太ももの痛みは10→1にまでになった。

    三回の治療で、ほとんど膝の痛みは感じない。

    無理をして膝の違和感が出る時はあるが、教えてもらったセルフ灸をすることでリカバリー出来る。

    このため、一ヶ月間様子を見ることにする。

    一ヶ月後、膝を酷使した状況でもひどくならないとのことなので、四回の治療で終了とした。

    膝痛の鍼灸治療

    膝の疾患は、一般的に膝の関節そのものの問題のようにとられてしまいます。

    もちろん、その場合も多くあります。

    しかし、膝の軟骨がすり減って・・・

    膝の関節が変形して・・・

    半月板が・・・

    といった問題ではない膝痛も、非常に多くあるのもまた事実です。

    膝を動かす筋肉や腱の問題で痛みが起こっているケースは、鍼灸治療の十八番です。

    こちらの膝痛患者さんのケースでもそうでしたが、

    今回のケースも、膝の筋肉を緩めていくことで、とても速やかに痛みが消失していきました。

    腫れがひどい場合でも、上手く鍼灸で刺激をしていければ、素早く腫れが引いていくケースも多々あります。

    変形してしまった場合は、太ももの筋肉の弱りがあるので、その筋肉の強化も必要になります。

    また、お灸が非常に効果的です。

    せんねん灸などを使って、セルフ灸をやって行くことは、膝の痛みを軽減するだけでなく、後々の膝の変形の予防にも一役買えますので、ぜひお灸はやってほしいものです。

  • 【改善事例】整形で装具をつけましょうと言われた膝痛

    76歳 女性 伊勢崎市

    主訴

    右膝の痛み 

    症状

    10年前から右膝の痛みを感じることが時々あった方です。

    昨年ごろより、痛みが強くなり、腫れも出るようになってきてしまいました。

    整形外科で4回ほど水を抜いても、すぐに腫れてきてしまいます。

    整形の先生から膝の装具をつけましょうと言われ、逃げるように大成堂に来院されてきました。

    右と左の膝を比べると、明らかに右が腫れていて、触ると熱も持っています。

    他動的に膝を曲げようとしても、痛みであまり曲がりませんでした。

    約2ヶ月後に台湾に旅行に行くので、それまでには間に合わせたいとのことでした。

    治療

    膝痛の特効穴を中心に治療をしました。

    昭和の名灸師と呼ばれた深谷伊三郎先生が、膝の灸治療で使っていたというのツボです。

    更に、膝に関連のあるツボに鍼と灸を使って治療をしました。

    経過

    週に一回のペースで治療をスタートしました。

    初回の治療終了時に、膝の腫れは半分以下になり、治療院から帰る時にはかなり楽に歩くことが出来ていました。

    2回目大成堂に来た時には、膝のはばったい感じは、10→2程度まで軽減していました。

    また、膝を曲げた時の痛みも6割程度にまで軽減していました。

    6回の治療で、膝のはばったい感じは、天候によって増減はあるものの、ほとんど問題ない程度になりました。

    歩行で足をついた時のズキンとする痛みは、調子が良い時は10→1~2、調子が悪い時でも10→5程度にまで軽減しました。

    完全に良くなったところまではいきませんでしたが、台湾旅行には問題なく行ってくることはできました。

    装具をつけようと言われた状態から考えたら、二ヶ月で劇的な改善ができました。

    台湾旅行から帰って来てからも、しばらくは週一回のペースで、その後二週に一回、月に一回と間隔を広げて、現在はメンテナンス治療として来院されています。

    膝の水は基本的には抜かない方が良い

    膝に炎症があるために、関節包内に水が浸出してきてしまい、それが原因で水が溜まってきます。

    水を抜いても炎症が治まるわけではないので、また水が溜まってきてしまいます。

    鍼灸の膝への治療メカニズムは、血流を改善して炎症反応を速やかに促進させて、炎症が治まるようにすることが中心です。

    更に、鍼灸の刺激が麻酔効果となり、痛みを軽減させます。

    また、血流とリンパの還流を促進することで、水を抜くよりも自然な形で腫れをひかせていきます。

    このようなメカニズムで、今症例のような装具をつけることを検討するような膝痛でも、鍼灸治療で改善してきたわけです。